広く研究利用可能な病理画像データベースの構築と公開

病院で病理診断を受けられた方およびそのご家族のかたへ

日本病理学会では国内の25施設から病理標本の画像データ(Pathology whole slide image, 以下P-WSIと呼びます)と関連する診療情報(年齢や性別、病理診断内容等)を収集し、広く国内外の研究者が利用可能なデータベースを整備しています。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、ご自身の病理標本や診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合は末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。

研究課題

広く研究利用可能な病理画像データベースの構築と公開(審査番号2020226NI)

研究機関名及び本学の研究責任者氏名

この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
研究機関    一般社団法人 日本病理学会
研究責任者  北川 昌伸 日本病理学会理事長
担当業務 データ収集と管理

共同研究機関  〇多施設共同研究の場合(必須)

(研究責任者・研究機関・職名・役割)
秋田大学 教授 南條博  データの収集と提供
東京大学 教授 牛久哲男  データの収集と提供
慶応義塾大学 部長・准教授 大喜多肇  データの収集と提供
千葉大学 教授 池田純一郎  データの収集と提供
筑波大学 教授 野口雅之  データの収集と提供
金沢大学 教授 原田憲一  データの収集と提供
金沢医科大学 教授 山田壮亮  データの収集と提供
浜松医科大学 病院教授 馬場聡  データの収集と提供
奈良県立医科大学 教授 大林千穂  データの収集と提供
京都大学 教授 羽賀博典  データの収集と提供
広島大学 教授 有廣光司  データの収集と提供
九州大学 教授 小田義直  データの収集と提供
産業医科大学 診療教授 島尻正平  データの収集と提供
宮崎大学 准教授 佐藤勇一郎  データの収集と提供
青森県立中央病院 部長 黒滝日出一  データの収集と提供
富山市立富山市民病院 副院長 齋藤勝彦  データの収集と提供
名古屋医療センター 室長 西村理恵子  データの収集と提供
大阪警察病院 部長 安岡弘直  データの収集と提供
大阪国際がんセンター 主任部長 本間圭一郎  データの収集と提供
熊本医療センター 部長 村山寿彦  データの収集と提供
徳島大学 教授 上原久典  データの収集と提供
信州大学 教授 本田孝行  データの収集と提供

研究期間

2016年11月~2023年3月

対象となる方

過去に上記の医療機関で病理診断を受けたことのある方。

研究の意義と目的

日本国内では日々、医療機関で多数の病理標本が作製され、病理診断が行われています。これらの病理標本画像をデジタル化したP-WSIは、人工知能による画像解析を含む様々な応用可能性を秘めたデータになると考えられます。そこで日本全国の多施設から収集したP-WSIをデータベースに格納し、様々な研究機関が学術研究や製品開発のために用いることができる環境を整備することを目的として本研究を実施します。

研究の方法

 上記の共同研究機関(医療機関)から提供された約15万件のP-WSI及び付随する臨床病理学的情報(年齢、性別、臓器名、採取法、臨床診断名、病理診断名)をデータベースとしクラウド上に整備します。データの収集は電子的方法(オンライン)及びハードディスク等の可搬媒体を用いて行います。
 整備したデータベースは利用申請のあった国内外の研究機関において学術研究に使用されます。民間企業が大学等の学術研究機関とともに共同で学術研究を行う場合、民間企業がデータベースを利用することもあります。いずれの場合も関連する法規や倫理指針に則って行い、必要な場合はデータベースを利用する機関において利用前に倫理審査を行います。データベースを利用する場合はハードディスク等の可搬媒体、もしくは電子的配信の方法でデータの授受を行います。
 この研究は、日本病理学会および各研究参加施設の倫理委員会の承認を受け、日本病理学会理事長の責任のもと実施するものです。またこれまでの診療で既に作成された病理標本及びその標本画像をデジタル化したP-WSI、カルテに記録されているデータを収集して行う研究です。特に患者さんに新たにご負担いただくことはありません。

個人情報の保護

 この研究に関わって収集される情報(P-WSIを含む)は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
 収集したP-WSIやデータは、2種類のデータベース(データベースAとデータベースB)に登録されます。データベースAでは登録する前に患者番号や病理標本番号等の個人情報を削り、代わりに新しく符号をつけ、どなたのものか分からないようにします(このことを匿名化といいます)。匿名化した上で、パスワードロックをかけたパソコンもしくは可搬媒体に保管し、可搬媒体の場合は鍵をかけたロッカー等に保管します。ただし、必要な場合には、病理学会においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、あなたのデータが含まれるか否かお知らせすることもできます。
 データベースBでは、解析する前にあなたの個人情報とは一切連結できないような形の情報(これを「匿名加工情報」と呼びます)に加工した上で、セキュリティの高いクラウドに整備したデータベースに登録して厳重に保管します。そのため、データベースBにおいてはご自身のデータを探して削除することはできません。
収集したデータは学術研究目的の場合に限り、他の学術研究機関(学術研究機関と共同で学術研究を行う企業を含む)に送られ解析・保存されます(提供先機関については未定ですが、決まった場合はホームページで改めてお知らせします)。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)のデータを使用してほしくない場合は下記の問い合わせ先、もしくは受診し病理診断を受けた上記の参加施設にご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
 研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内及び海外のデータベース等で公表します。
 収集したデータは厳重な管理のもと、データベース上に保存されます。何らかの理由でデータベースを閉鎖する場合は、復元不可能な形でクラウドからP-WSIを含むデータを削除するとともに、一定の保管期間終了後に病理学会で保管するP-WSIやデータについても復元不可能な形で削除、あるいは物理的に破壊して廃棄します。
 本研究の結果として特許権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関及び研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その特許権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究に関する費用は、データベースを利用する研究機関や企業からの利用料により支出されています。またクラウド上のデータベース構築等の初期費用は日本医療研究開発機構(AMED)からの資金により賄われています。従って費用面においてご負担頂くことは決してありません。
本研究に関して、開示すべき利益相反関係はありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。

                                                                                                                                                                                                                                                      2021年4月

問い合わせ先

連絡担当者:牛久 哲男(うしく てつお)
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科・医学部 人体病理学・病理診断学
電話:03-5841-3343 
FAX:03-3815-8379