「病理組織画像から細胞を認識する深層学習モデルの開発」
はじめに
東京大学大学院医学系研究科衛生学分野では、東京大学医学部附属病院病理部・人体病理学教室、株式会社biomyとの共同研究として、東京大学医学部附属病院で腫瘍の切除手術を受けられた患者さんの病理組織標本などの一部を対象に、人工知能技術を使って病理組織画像解析の研究を進めております。この研究は腫瘍に対する知見を深め、将来の医療に役立てる上でとても重要と考えております。
① 試料・情報の利用目的及び利用方法(他の機関へ提供される場合はその方法を含む)
この研究の対象は、以下の共同研究の対象となっている患者さんです。
・2381「ティッシュアレーを用いた癌関連遺伝子の病理組織学的解析」:1955年以降に当院で腫瘍の切除手術を受けられた患者さんのうち、ティッシュアレーが作成された一部の方が対象となります。
この研究は、人工知能技術を用いることでデジタル病理組織画像から細胞の種類や位置を推定する技術の開発を目的としており、対象患者さんが手術で採取された病理組織検体(パラフィン包埋検体)のデジタル病理組織画像が解析されます。
この研究の具体的な手順と内容は以下のとおりです。まず、ティッシュアレーの病理組織スライドをヘマトキシリン・エオジン染色し、スライドスキャナを用いてデジタル病理組織画像を作成します。次にそのスライドを脱色した後、細胞の種類や位置を判定可能な特殊な染色(免疫染色)を行います。その後、再びスキャンを行いデジタル病理組織画像を作成します。これらの手順は全て東京大学大学院医学系研究科衛生学分野で実施されます。そして、これらのデジタル病理組織画像は株式会社biomyに提供されます。その後、東京大学および株式会社biomyにおいて、これらの画像を学習データとして用い、ヘマトキシリン・エオジン染色画像から細胞の種類や位置を予測するAIモデルを開発します。なお、開発したAIモデルの性能評価を目的として、ティッシュアレー以外に通常の生検・手術検体の病理画像を用いることもあります。この研究は通常の病理検体を対象として行われますので、患者さんご本人の診療内容には全く影響を与えませんし、不利益を受けることもありません。
本研究において扱う病理組織画像は東京大学大学院医学系研究科衛生学分野および株式会社biomyのセキュリティ対策のなされたサーバ上に保存されます。サーバには患者さん個人のお名前やご住所などの個人を特定できる情報は保存されません。その後、この研究によって得られた成果を元に学会や論文で発表することがあります。その際にも、患者さん個人のお名前やご住所などの個人情報は匿名化し、その保護には十分に配慮いたします。また、この研究で開発されたAIモデルは、株式会社biomyによって商用利用される可能性があります。しかし、その際にも、患者さん個人のお名前やご住所などの個人情報は一切使用しません。このように、この研究を進めるにあたっては、患者さんの個人情報の取り扱いに最大限の配慮を講じさせて頂きます。
② 利用し、又は提供する情報の項目
この研究では、①で記載いたしましたように患者さんの手術や生検などで採取された病理組織検体(パラフィン包埋検体)のデジタル病理組織画像が研究対象として用いられます。この研究は通常の病理検体を対象として行われますので、患者さんご本人の診療内容には全く影響を与えませんし、不利益を受けることもありません。
③ 利用する者の範囲
この研究は以下の研究機関で実施します。
主たる研究機関
・東京大学大学院医学系研究科 衛生学分野
研究代表者 石川 俊平(教授)
・東京大学医学部附属病院 病理部
東京大学大学院医学系研究科人体病理学・病理診断学分野
共同研究者:牛久哲男(教授)
共同研究機関
・株式会社 biomy
研究責任者;小西哲平(代表取締役社長)
本研究で取得した試料・情報は共同研究機関の範囲のみで利用されます。
また、今後共同研究の内容に変更があった場合や共同研究機関が加わった際にはこちらで通知いたします。
④ 研究期間
本研究は東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学大学院医学系研究科・医学部長および共同研究機関の機関の長の許可を得て実施するものです。
研究期間:実施許可日~2029年7月5日
⑤ 情報の管理について責任を有する者の氏名又は名称
東京大学大学院医学系研究科衛生学分野
教授 石川俊平
⑥ 利益相反
この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部衛生学分野の運営費交付金から支出されています。共同研究機関である株式会社biomyからの資金提供等はなく、東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し、利益相反マネジメントを適正に行っています。
⑦ 研究対象者、またはその代理人(代諾者)の求めに応じて、研究対象者が識別される試料・情報の利用又は他の研究機関への提供を停止すること。
この研究に関して不明な点がある場合、また患者さんのデータをこの研究に使用させて頂くことについて、患者さんがご同意なされない場合には、下記までご連絡頂きたいと存じます。その場合には、データの使用を停止させて頂きます。この研究のどの時点で同意を撤回することも自由ですが、一度研究の成果を公開してしまいますと、その部分については取り消しが非常に難しくなることはご理解ください。なお、この研究は東京大学医学部倫理委員会の承認を得ております。また、ご自身の検体の研究への使用をお断りになった場合でも、将来にわたって患者さんが当院における診療上の不利益を被ることは全くありませんので、ご安心ください。ここで、代理人(代諾者)とは患者さんが未成年、もしくは成人で十分な判断能力のない方の場合に本人に代わって研究への参加に同意された方を指します。
⑧ ⑦の研究対象者又はその代理人の求めを受け付ける方法
下記の連絡先にご連絡下さい。
牛久哲男
東京大学医学部・大学院医学系研究科 病因・病理学専攻
人体病理学・病理診断学講座
電話 03-5841-3341 ファクシミリ 03-3815-8379