東京大学医学部附属病院にて生検・手術・病理解剖を受けた方およびそのご家族の方へ
当院の病理部では日々の病理診断とともに、がんをはじめ疾患の原因や進行の機序を明らかにすべく研究を行っています。この研究は患者様の診療に用いられた病理検査の残余検体を用いて行う研究の一環として、腫瘍組織の中の細胞一つ一つについて、様々な遺伝子の発現量を、その細胞の位置情報を保持したまま調べて、疾患の理解を深めようというものです。
この研究の対象者に該当する可能性がある方で、診療情報等を研究目的に利用または提出されることを希望されない場合、研究への協力を希望されない場合、あるいは協力を途中でおやめになりたい場合は2025年3月31日までに末尾に記載の問い合わせ先までご連絡ください。
【研究課題】
ハイブリダイゼーションプローブパネルによる病理組織の1細胞空間トランスクリプトーム解析(審査番号2024365NI)
【研究機関名及び本学の研究責任者氏名】
この研究が行われる研究機関と研究責任者は次に示すとおりです。
主任研究機関 東京大学大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学教室
研究責任者 牛久 哲男 人体病理学・病理診断学 教授
担当業務 研究計画立案・データ取得・データ解析
【共同研究機関】
研究機関 株式会社Visualix
研究代表者 弓倉 梓 株式会社Visualix 代表取締役
担当業務 解析済みデータを用いた検討
この研究に利用する試料は東京大学人体病理学・病理診断学教室のみで利用されます。
取得したデータ情報は共同研究機関の範囲のみで利用されます。
【研究期間】
2024年11月15日~2029年3月31日
【対象となる方】
1990年1月1日 ~ 2024年8月31日の間に当院の内科や外科で癌に対する生検や手術を受けられた方。
【研究目的・意義】
がんがどうして発生して病気として進行するか、遺伝子の配列の異常や機能の異常によるメカニズムが明らかになってきました。これによりさまざまな種類のがんをどうやって診断し、治療するか、という取り組みが進んでいますが、がんの原因は多彩であり、まだ十分に明らかになっていません。これを明らかにする研究の中で分かってきたことは、腫瘍の中にはがん細胞以外にも様々な細胞が存在して、がん細胞を抑え込もうとしたり、逆にがん細胞を助けようとしたりするということです。この研究では、腫瘍組織の中で、がん細胞や、それ以外の細胞の位置関係をはっきりさせながら、細胞一つ一つでどのような遺伝子が発現していて、周囲の細胞、がん細胞にどのように働きかけているかを調べることで病理の理解を深めることが目的です。
【研究の方法】
東大病院病理部に保管されている病理組織検体(通常の病理診断が終わった後の残りの検体)を用い、オリゴヌクレオチドプローブハイブリダイゼーション法という方法を用いて、腫瘍細胞や周囲の細胞の一つ一つがどの遺伝子をどの程度発現しているかを調べます。がんの種類によってそれぞれの細胞での遺伝子の発現にどのような特徴があるか、解析します。なおこの研究では個人ごとの遺伝子の配列の違いや腫瘍細胞での配列の変化(変異)の情報は取得しません。
これまでの診療で診療録(カルテ)に記録されている血液検査結果、内視鏡検査、画像検査、病理検査などのデータを取得して行う研究です。特に研究対象者の皆さんに新たにご負担いただくことはありません。
今回の研究では薄く切り出した組織(厚さ5マイクロメートル) 2片を使用します。併せてその準備のために検体の一部を予備的に切る必要があります。保管中の病理組織検体は将来がん遺伝子パネル検査などのため患者様の診療に用いることがあります。このため残余量の僅かな検体はこの研究の対象にしないよう配慮いたしますが、結果的に将来の検査時に十分な検体量を確保できなくなる可能性は否定できません。
なお、研究計画書や研究の方法に関する資料を入手・閲覧して、研究内容を詳しくお知りになりたい場合は、末尾の連絡先にお問い合わせください。他の研究対象者の個人情報等の保護や研究の独創性確保に支障がない範囲でご提供させていただきます。
病理組織検体とデータの取得・解析は東京大学人体病理学・病理診断学がすべて行います。共同研究機関である株式会社Visualixは病理組織検体(試料)や個人情報の提供を受けません。したがって研究対象者の皆さんのお名前等が、株式会社Visualixに伝わることはありません。個人情報を含まない解析済みのデータを用いて学会・論文発表にあたり東京大学人体病理学・病理診断学と検討を行うことがあります。ただしデータの商用利用は行いません。
利用又は提供を開始する予定日:2025年4月1日
【個人情報の保護】
この研究に関わって取得される試料や資料・情報等は、外部に漏えいすることのないよう、慎重に取り扱う必要があります。
取得した試料や資料・情報等は、解析する前に氏名・住所・生年月日等の個人情報を削り、代わりに新しく研究用の符号をつけ、どなたのものか分からないようにします。どなたのものか分からないように加工した上で、研究責任者のみ使用できるパスワードロックをかけたパソコンで厳重に保管します。ただし、必要な場合には、当研究室においてこの符号を元の氏名等に戻す操作を行い、結果をあなたにお知らせすることもできます。
この研究のためにご自分(あるいはご家族)の試料や情報・データ等を使用してほしくない場合は主治医にお伝えいただくか、下記の問い合わせ先に2025年3月31日までにご連絡ください。研究に参加いただけない場合でも、将来にわたって不利益が生じることはありません。
ご連絡をいただかなかった場合、ご了承いただいたものとさせていただきます。
研究の成果は、あなたの氏名等の個人情報が明らかにならないようにした上で、学会発表や学術雑誌、国内及び海外のデータベース等(NDBCヒトデータベースなど)で公表します。
取得した情報・データ等は厳重な管理のもと、研究終了後5年間保存されます。保管期間終了後には、紙資料はシュレッダーで破砕し、電子データは専用ソフトを用いて復元不可能な形で消去することで廃棄します。元の病理組織試料の保管については本院の定める規則に従います。なお研究データを統計データとしてまとめたものについてはお問い合わせがあれば開示いたしますので下記までご連絡ください。
尚、提供いただいた試料・情報の管理の責任者は下記の通りです。
試料・情報の管理責任者
所属:東京大学大学院医学系研究科 人体病理学・病理診断学
氏名:牛久 哲男
本研究の結果として知的財産権等が生じる可能性がありますが、その権利は国、研究機関、民間企業を含む共同研究機関および研究従事者等に属し、研究対象者はこの特許権等を持ちません。また、その知的財産権等に基づき経済的利益が生じる可能性がありますが、これについての権利も持ちません。
この研究は、東京大学医学部倫理委員会の承認を受け、東京大学医学部附属病院長の許可を受けて実施するものです。
この研究に関する費用は、東京大学大学院医学系研究科・医学部人体病理学・病理診断学分野の運営費及び日本学術振興会科学研究費補助金、さらに一部(当初計画全体の約10分の1に相当する固定額です)は共同研究契約を行った株式会社Visualixから支出されています。
本研究は、株式会社Visualixより研究資金、機器の提供を受けて実施いたしますが、東京大学医学部利益相反アドバイザリー機関に報告し、利益相反マネジメントを適正に行っています。株式会社Visualixは本研究での試料の取り扱い・データの取得と解析の全ての過程に関与せず、また同社に対して試料の提供や個人情報の提供は一切行いません。研究の実施や報告の際に、株式会社Visualixに都合のよい成績となるよう意図的に導いたりすることはありません。
尚、あなたへの謝金はございません。
この研究について、わからないことや聞きたいこと、何か心配なことがありましたら、お気軽に下記の連絡先までお問い合わせください。
2024年11月
【連絡・お問い合わせ先】
研究責任者:牛久 哲男(うしく てつお)
連絡担当者:鯉沼 代造(こいぬま だいぞう)
〒113-0033 東京都文京区本郷7-3-1
東京大学大学院医学系研究科・医学部 人体病理学・病理診断学
電話:03-5841-3341 FAX:03-3815-8379
e-mail:pathology-ikyoku@umin.ac.jp