新技術を用いた病理学研究

主な担当メンバー:堂本裕加子、日向宗利

1.人工知能を用いた病理組織画像の解析

近年のAI技術の発達は著しく、特に畳み込みニューラルネットワークを用いたディープラーニングの手法は画像認識における有用性が認められています。病理組織標本には病変の性質が形態として現れてくることから、これらの技術の病理組織画像への応用が期待されます。現在、このような研究の一環として、胃癌HE画像からの分子生物学的サブタイプの分類を試みています。

2.病理組織画像の3次元再構築

一般的な病理組織標本は特定の断面を見る2次元的な評価にとどまりますが、実際の病変は3次元的な広がりを持ちます。病変を3次元的に評価する手法の1つとして、数µm間隔の連続切片を積み重ねることにより再構築するというものがあり、近年のコンピューターの計算能力の向上も合わさり精密な評価が可能となってきています。
当教室では超高分化型胃癌をはじめ、立体構造の把握が病変の理解に有用と考えられる疾患について3次元的に評価、検討を行っています。

3.質量分析法

病理標本の一部をレーザーマイクロダイセクションで切り出し、液体クロマトグラフィー質量分析法を用いることで、どのような蛋白質が含まれるかくまなく調べることができます。
さらにイメージング質量分析法を用いることで、特定の蛋白質の局在を明らかにすることができます。